劣化 degradation 2005 11 26

 今日は、日本社会の劣化について書きたい。
これは、私が体験したことですが、本屋のことです。
 ある街に、中規模な本屋がありました。
過去形で書くのは、すで倒産してしまったからです。
 しかし、そうなることは、ある程度、予見できました。
その本屋は、長年に渡って、専門的な書籍を中心に扱っていて、
専門書を必要とする人には好評でした。
私も、その書店をよく使っていました。
 ところが、ある時、その本屋が、エロ本を置くようになったのです。
私は、「どうしたのですか」と、書店の主人に聞いてみると、
「残念だけれど、こうしないと食べていけない」と言っていました。
 確かに、いろいろな批判がされているけれど、
コンビニエンスストアが、店頭から、エロ本を撤去しないのは、エロ本が儲かるからでしょう。
 しかし、こういう状況を見て、この本屋は、先が長くないと感じました。
これでは、昔からの顧客が逃げていくからです。
 また、ある日、大型書店に行った時のことです。
その書店は、1階が、漫画、雑誌、流行本、ハウツーもので、
2階、3階が、専門書となっているのです。
 休日だというのに、2階、3階は、ほとんど人影がなく、まるで自分専用の図書館のようでした。
しかし、1階に下りてみると、まるで、電車の中のように混雑していました。
 日本社会の「知性」が、相当、劣化しているように思えます。
今の日本は、「知識人」と「それ以外」で、分化してしまったのでしょうか。
そうだとするならば、実に悲しいことです。
少なくとも十数年前までは、日本人は、みんな知識人だったし、そう呼ばれていたのです。
 昔、日本の家庭に、テレビが普及する時に、
「これで、日本人が白痴化する」と言った評論家がいましたが、現実に、そうなったかもしれません。
さらに、テレビゲームの普及が、日本人白痴化を推進したと思います。
 みんな、豊かさの海に溺れているのです。
今、豊かであることを当然と考えてはいけないのです。
団塊の世代以上の人たちが、死に物狂いで働いてきたからこそ、今、日本は、豊かなのです。
 しかし、そういう「死に物狂いで働く人」がいなくなれば、
日本は、貧しい状態に逆戻りします。








































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